【法改正】育児・介護休業法の改正①

育児介護休業法はその名の通り、育児と介護に関する会社の義務(ルール)を定めている法律です。

育児については大きな裁判もあってか、「ハラハラ」問題の影響かそのルールもずいぶん浸透しているように思いますが、介護は置いてけぼりになっている感が否めませんでした。今回の改正はその介護に関するルールが大きなポイントとなっています。

 

中小企業だから・・・って?

育児休業・介護休業等のお話をすると必ずと言っていいほど出てくるのが「ウチは中小企業なのに・・・」です。特に中小企業はその業態は様々、特に少数精鋭で頑張っている企業で休業者が出るのは痛い。

「長期のお休みが予定されるなら、別の人材を投入したい。」

「育児休業明けの人が復帰してきたのはいいけれど、どうして会社も同僚もこんなに気を遣わなければならないの?」

そんな声をしょっちゅう耳にします。私も極小事務所の代表、その気持ちはよーくよくわかります。

 

でも、中小企業だからこそ、この制度、結構必要だと思うのですがどうでしょうか?

例えば、その人が持っているその会社でのスキル、かなり会社の努力によって作り上げたものではないでしょうか?それにどれだけ時間をかけたのかを考えると、別の人材にまた一から同じことを同じ時間かけることができますか?

会社の規模が小さければ小さいほど、その会社のカラーは働く人間にとっては強いので、人材の良し悪しの前に、そのカラーに染まれる人が来るかどうか、これは賭けに近いです。採用した人が必ずしも穴を埋めてくれるとは限りません。

そう考えると、お休みされる1年(程度)の間をどう乗り切るかの策を考える方が現実的だと思うのです。

中小企業なのに、どうしてこんなルールを守らなきゃいけないの?

そう言っていても法律は法律、守らなければ身を切ることになるのですから、まずは自社でできること、できないこと、頑張ればなんとかできるかもしれないこと、この辺りから整理していきましょう。

 

ある介護福祉士のことば

テレビ番組で、介護の仕事についてこんな言葉を聞きました。

 

「介護の仕事は、その人がどう生きたいのか(どう死にたいのか)そのサポートを一緒に考え実現させる仕事」

介護の現場では様々な問題があります。社労士の分野でも介護職の労働環境、特に時間と賃金について大いに検討すべきところではあるのですが、この問題についてはこうも語られました。

 

「給料があがっても介護職を志す人が増えるとは思えない。介護の仕事をしたいと思える(前述の思い)ことが必要」

単純に給料を上げればよいという問題ではない、心だ、気持ちだというところに大いに賛同します。

でもこれって「介護事業」の話だけではないですよね。

仕事はそもそも誰かのために行うもの。思いがなければ出来っこないと思います。

その思いは人間ひとりひとりの「感覚」から生まれるもので、その根底にその人が生まれてからこれまでに関わったすべての事柄が反映されているもの、つまり、会社がその人に対して持つ思いがそのまま反映されるということです。

こんなところに「会社がすべきこと」が見えてくるのではないでしょうか。

 

で、法改正はどうした

というわけで、1月の法改正に向けて、自社の育児介護休業規定の見直しをしなければならないということになります。

次回法改正パート②でその具体的な内容について触れたいと思います。

 

特にさわだて事務所は今年多くの企業様の「介護支援取組助成金」を申請させていただきました。その企業様は全社この改正を考えなければなりません。

施行される1月に向けて就業規則の改定を行ってくださいね。

 

ではパート②でまた。

 

 

 

「いい会社」ってどんな会社?

今だから言えますが、いわゆる「ブラック企業」だと思っていたお客様がいます。いえ、いました。

 

だって、ワンマンだし、すぐ怒鳴るし(私にも従業員さんにも)、雇用管理も○○だったり△△だったりしたんですもの。

だけど今は「いい会社」づくりのお話ができるようになっています。

社長は相変わらずワンマンだし、すぐどなるけれど(笑)

 

何をしたいのかを見つけること

労基署の調査対応がそもそもの始まりでした。

帳簿チェックすると出るわ出るわ、非常にダイナミックな労務管理でした。現状のリスクの説明をすると、「俺の会社で俺が何をしようと勝手だろう。お前にそんなことを言われる筋合いはない!」と社長は大変お怒りになりました。そんな状態なので、私も余計なことを言わず一日も早く仕事を完了しようと思っていたわけです。

私は関与先には「いい会社」づくりをしていただきたいし、そのサポートが本業だと思っています。その思いがない会社では私の出る幕はないと思ったのです。

でも、そうではありませんね。

私が汲み取れなかった、汲み取る気がなかっただけなのです。社長が社労士を呼んだ理由を。

 

総合的な顧問契約にしろ、特定の業務のスポットのご依頼にしろ、専門家がタッチすると結果が変わります。そのために私たちは高い報酬をいただくのですから。

どうして結果が変わるかと言うと、専門家は当人にもわからない内在する問題点や、今後発生し得るリスクやメリットを見通して行動できるからです。

しかし、それを行うにはまず、本当にそれが会社のメリットなのか、この会社にとってデメリットは何なのかをわかっていなければ方向性を見失い、ただの事務手続きに終わることになります。

 

「いい会社」って全体像ではない

「いい会社」づくりはコンサルティング業務に分類されますが、それだけではないはずです。

例えば社労士が行う社会保険の手続きひとつとっても「いい会社」づくりをするひとつの材料だと思います。

 

事務手続きは覚えてしまえば誰にだってできるけれど、その手続きによって実は従業員の会社に持つ印象が大きく変わることだってあります。

その会社が「いい会社」であるか、どんな「いい会社」を作っていくのかは小さいディテールの積み重ねですから、何をもって「いい会社」とするかは一言では言えませんよね。

 

従業員に優しい会社

家族のように皆仲良しの会社

定時で帰れる会社

休みの多い会社

 

色々ありますが、「いい会社」かどうかを決めるのはその会社であり、その会社で働くすべての方々です。

つまり、会社ごとに「いい会社」像が違うということ。

 

「いい会社」づくりをしていきましょうというと、絵に描いた餅を焼くようなイメージを持つ方もいらっしゃいますが、そうではなくて、その会社にあったやり方を見つけることがまず最初に行うことなのです。

社長のやりたいことを目に見える形にするのが「いい会社」づくりではありませんか?

そしてそのやりたいことが言葉にできないのであれば一緒に見つけていくことが私たちの仕事です。

 

おわりに

ワンマン、いいじゃないですか。

私は好きです。

もちろん、優しく後から背中を押してくれるような社長も好きです。

 

どちらがいい、悪いではなく、社長が決めた方向性にしっかりと従業員のしあわせを結び付けることが大事ですね。

 

かのワンマン社長は、毎月大きな目標を達成した社員には大きな報償を用意しています。

怒鳴り散らして委縮させることもありますが、それが社長の叱咤激励であることを今はわかっています。

でもわかりにくいことは確かだから、私は今や社長の通訳であることを使命としています。

社長が考える従業員のシアワセを従業員が理解できるシアワセに変換させる仕組み作りを考えることが通訳業務です。

逆もしかりで、従業員の本音を社長に伝えましょう。

そして明日も「いい会社」づくりに必要ならば怒鳴られて参りましょうか。