育児介護休業法はその名の通り、育児と介護に関する会社の義務(ルール)を定めている法律です。
育児については大きな裁判もあってか、「ハラハラ」問題の影響かそのルールもずいぶん浸透しているように思いますが、介護は置いてけぼりになっている感が否めませんでした。今回の改正はその介護に関するルールが大きなポイントとなっています。
中小企業だから・・・って?
育児休業・介護休業等のお話をすると必ずと言っていいほど出てくるのが「ウチは中小企業なのに・・・」です。特に中小企業はその業態は様々、特に少数精鋭で頑張っている企業で休業者が出るのは痛い。
「長期のお休みが予定されるなら、別の人材を投入したい。」
「育児休業明けの人が復帰してきたのはいいけれど、どうして会社も同僚もこんなに気を遣わなければならないの?」
そんな声をしょっちゅう耳にします。私も極小事務所の代表、その気持ちはよーくよくわかります。
でも、中小企業だからこそ、この制度、結構必要だと思うのですがどうでしょうか?
例えば、その人が持っているその会社でのスキル、かなり会社の努力によって作り上げたものではないでしょうか?それにどれだけ時間をかけたのかを考えると、別の人材にまた一から同じことを同じ時間かけることができますか?
会社の規模が小さければ小さいほど、その会社のカラーは働く人間にとっては強いので、人材の良し悪しの前に、そのカラーに染まれる人が来るかどうか、これは賭けに近いです。採用した人が必ずしも穴を埋めてくれるとは限りません。
そう考えると、お休みされる1年(程度)の間をどう乗り切るかの策を考える方が現実的だと思うのです。
中小企業なのに、どうしてこんなルールを守らなきゃいけないの?
そう言っていても法律は法律、守らなければ身を切ることになるのですから、まずは自社でできること、できないこと、頑張ればなんとかできるかもしれないこと、この辺りから整理していきましょう。
ある介護福祉士のことば
テレビ番組で、介護の仕事についてこんな言葉を聞きました。
「介護の仕事は、その人がどう生きたいのか(どう死にたいのか)そのサポートを一緒に考え実現させる仕事」
介護の現場では様々な問題があります。社労士の分野でも介護職の労働環境、特に時間と賃金について大いに検討すべきところではあるのですが、この問題についてはこうも語られました。
「給料があがっても介護職を志す人が増えるとは思えない。介護の仕事をしたいと思える(前述の思い)ことが必要」
単純に給料を上げればよいという問題ではない、心だ、気持ちだというところに大いに賛同します。
でもこれって「介護事業」の話だけではないですよね。
仕事はそもそも誰かのために行うもの。思いがなければ出来っこないと思います。
その思いは人間ひとりひとりの「感覚」から生まれるもので、その根底にその人が生まれてからこれまでに関わったすべての事柄が反映されているもの、つまり、会社がその人に対して持つ思いがそのまま反映されるということです。
こんなところに「会社がすべきこと」が見えてくるのではないでしょうか。
で、法改正はどうした
というわけで、1月の法改正に向けて、自社の育児介護休業規定の見直しをしなければならないということになります。
次回法改正パート②でその具体的な内容について触れたいと思います。
特にさわだて事務所は今年多くの企業様の「介護支援取組助成金」を申請させていただきました。その企業様は全社この改正を考えなければなりません。
施行される1月に向けて就業規則の改定を行ってくださいね。
ではパート②でまた。