今だから言えますが、いわゆる「ブラック企業」だと思っていたお客様がいます。いえ、いました。
だって、ワンマンだし、すぐ怒鳴るし(私にも従業員さんにも)、雇用管理も○○だったり△△だったりしたんですもの。
だけど今は「いい会社」づくりのお話ができるようになっています。
社長は相変わらずワンマンだし、すぐどなるけれど(笑)
何をしたいのかを見つけること
労基署の調査対応がそもそもの始まりでした。
帳簿チェックすると出るわ出るわ、非常にダイナミックな労務管理でした。現状のリスクの説明をすると、「俺の会社で俺が何をしようと勝手だろう。お前にそんなことを言われる筋合いはない!」と社長は大変お怒りになりました。そんな状態なので、私も余計なことを言わず一日も早く仕事を完了しようと思っていたわけです。
私は関与先には「いい会社」づくりをしていただきたいし、そのサポートが本業だと思っています。その思いがない会社では私の出る幕はないと思ったのです。
でも、そうではありませんね。
私が汲み取れなかった、汲み取る気がなかっただけなのです。社長が社労士を呼んだ理由を。
総合的な顧問契約にしろ、特定の業務のスポットのご依頼にしろ、専門家がタッチすると結果が変わります。そのために私たちは高い報酬をいただくのですから。
どうして結果が変わるかと言うと、専門家は当人にもわからない内在する問題点や、今後発生し得るリスクやメリットを見通して行動できるからです。
しかし、それを行うにはまず、本当にそれが会社のメリットなのか、この会社にとってデメリットは何なのかをわかっていなければ方向性を見失い、ただの事務手続きに終わることになります。
「いい会社」って全体像ではない
「いい会社」づくりはコンサルティング業務に分類されますが、それだけではないはずです。
例えば社労士が行う社会保険の手続きひとつとっても「いい会社」づくりをするひとつの材料だと思います。
事務手続きは覚えてしまえば誰にだってできるけれど、その手続きによって実は従業員の会社に持つ印象が大きく変わることだってあります。
その会社が「いい会社」であるか、どんな「いい会社」を作っていくのかは小さいディテールの積み重ねですから、何をもって「いい会社」とするかは一言では言えませんよね。
従業員に優しい会社
家族のように皆仲良しの会社
定時で帰れる会社
休みの多い会社
色々ありますが、「いい会社」かどうかを決めるのはその会社であり、その会社で働くすべての方々です。
つまり、会社ごとに「いい会社」像が違うということ。
「いい会社」づくりをしていきましょうというと、絵に描いた餅を焼くようなイメージを持つ方もいらっしゃいますが、そうではなくて、その会社にあったやり方を見つけることがまず最初に行うことなのです。
社長のやりたいことを目に見える形にするのが「いい会社」づくりではありませんか?
そしてそのやりたいことが言葉にできないのであれば一緒に見つけていくことが私たちの仕事です。
おわりに
ワンマン、いいじゃないですか。
私は好きです。
もちろん、優しく後から背中を押してくれるような社長も好きです。
どちらがいい、悪いではなく、社長が決めた方向性にしっかりと従業員のしあわせを結び付けることが大事ですね。
かのワンマン社長は、毎月大きな目標を達成した社員には大きな報償を用意しています。
怒鳴り散らして委縮させることもありますが、それが社長の叱咤激励であることを今はわかっています。
でもわかりにくいことは確かだから、私は今や社長の通訳であることを使命としています。
社長が考える従業員のシアワセを従業員が理解できるシアワセに変換させる仕組み作りを考えることが通訳業務です。
逆もしかりで、従業員の本音を社長に伝えましょう。
そして明日も「いい会社」づくりに必要ならば怒鳴られて参りましょうか。