今、検討したい「助成金」のこと 

助成金、活用していますか?
助成金、奨励金といった「お金がもらえる制度」は色々ですが、
社会保険労務士は主に厚生労働省の「労働」と「雇用」分野の助成金を扱います。
その分野に絞ってもみても数がありますので、もしかしたらすぐに使える助成金があるかもしれません。
今日は比較的取り入れやすい助成金を紹介しつつ、申請時の社労士の有効活用について考えたいと思います。

 

中小企業労働環境向上助成金

雇用管理の改善を推進し、魅力ある雇用創出を図ることを目的とするこの助成金。対象とする企業の「業種」が限定されていることが大きな特色です。

【対象業種概要】
■重点分野関連事業主(健康・環境・農林漁業分野等)・・ex)IT関連、スポーツ施設提供業、医療福祉、廃棄物処理業など

■介護関連事業主

が対象となります。

ここで対象とならなかった業種の方であっても、今後の助成金の活用の仕方に興味のある方は次の項目にお進みくださいね。

 

【助成金メニュー】

この助成金は3つのコースがあります。コースごとにその助成額も異なります。

①評価・処遇制度 ・・・ 40万円
②研修体系制度  ・・・ 30万円
③健康づくり制度 ・・・ 30万円

どんなことをすると助成金がもらえるか、極簡単に説明すると

新たに従業員の評価制度を導入、昇進基準などを設ける、賃金体系を整える、通勤手当などの諸手当を設ける

新たに社内、社外での研修制度を導入。新人研修など

新たに人間ドッグ、生活習慣予防検診、腰痛検診、メンタルヘルス相談の制度を設ける

いずれのコースにも共通される「新たに」、この意味は会社のルールを定める就業規則に新たにその内容を盛り込むことを意味します。
したがって就業規則を作成・届出することが必須となっています。

この就業規則は労働基準法上、10人以上の会社様で作成届出義務がありますが、もし、10人未満の会社様がこの助成金を申請する場合は就業規則の作成届出義務がなくても必要となる点に注意してください。

 

 

助成金申請に必要なこと

計画→ 助成金の要件に基づいた「計画」のための書類を役所に提出

実施→ 計画通りに実施し、その証明(※)を用意する

支給申請→ 添付書類を揃え、所定の申請書にてお金をもらうための書類を提出する

 

手順はシンプルです。

役所に提出する書類は2点、計画の書類と支給のための書類です。

書類作成のボリュームも大きくありません。

→ 厚労省ダウンロードURL

www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a04-1.html

 

唯一、苦労する可能性があるものは添付書類、つまり助成金要件に当てはまっていることを証明する書類を準備することでしょう。

どの助成金でも共通して言えることですが、従業員に関連しての助成金であれば、従業員に対する労働基準法をしっかり守っていること、法律上のルールを守っていることはもちろん、就業規則に助成金の要件がしっかり盛り込まれていること。

この点が審査での可否の決定項目となるので厳重にチェックしてください。

 

社労士が携わる助成金申請

助成金申請の書類作成自体はそんなに複雑ではないので、自社で行うことは十分可能です。

しかし自社で行うと助成金申請を断念することも多いようです。

その大きな要因が前述の労働基準法の遵守の部分です。

「助成金申請をしたばかりに、未払い残業代の問題が発生してしてしまった。」

などということがないように、社内での規定と現実の見直し作業から行っていきたいですね。

◆残業時間、残業代の計算の仕方、あってますか?

◆タイムカードや出勤簿、虫食いになっていませんか? 正しい時間管理ができていますか?

◆忙しい会社では見落としが多いです。休日日数の管理できていますか?

などなど、助成金申請時に問題になるのはもちろん、もしかしたら従業員のモチベーション低下の原因になっているかもしれません。思わぬトラブルを防ぐためにもやるべきことはしっかりやる、やりたくなくてもやり方を考えてやりましょう!

ここは経営者の方には今一度振り返っていただきたいところです。

法律は守らなければならないものです。

でもそれを守ろうとする時に、画一的にルールを定めるのではなく、個々の「会社にあったやり方」を見つけることが大切ですね。

そこを一緒に考えていくことが社労士が会社と関わる意味となると私は思っています。

少なくともお忙しい経営者の方にとって、法律に基づいたルールを考えていくこと、それを就業規則に落とし込むこと、これら業務は負担の大きいものとなりますので、ここで社労士が登場するわけです。

 

社労士の報酬のお話

もし、今までのお話どおりに私が助成金のお仕事のご依頼をいただくとしたら、助成金申請代行として成功報酬を助成金額に応じていただきます。

それとは別に就業規則の作成届出のご料金が発生します。この就業規則の作成のご料金は正直言ってお高いです。

社内整備の部分は基本的に助成金申請の一環としてご料金は発生しませんが、もし未提出の法律上の義務書類などがある場合はご相談となります。

なんだかんだいって、助成金申請を社労士に依頼すると、「お金」がかかるのですよ

そうすると、せっかく助成金が入ると思ったのに、社労士にほとんど(いや、ほとんどではありませんよ)持って行かれちゃう、、、ということになるわけですが、

ここでひとつご提案です。

 

助成金にはたくさん種類があるんです!

冒頭でお話したとおり、助成金はその種類が多いのです。

またその時々の必要に応じて、新設される助成金もあれば、ある日突然終了する助成金もあります。

今回ご紹介した「中小企業労働環境向上助成金」は、比較的導入しやすい企業で1回だけもらうことができる助成金なので、私はこの助成金を会社を助成金体質にするための準備金と位置付けてご紹介しています。

この助成金に限らずとも、一度助成金申請を行うとその会社は今後の助成金の準備をしたと言っても過言ではありません。

社労士に依頼いただくと、今後別の助成金を申請するための土壌が労働基準法などの部分でもしっかり出来ていますので非常に楽に助成金申請を行えるようになります。

そのための準備として社労士報酬を実質無料で行えると考えたらいかがでしょう?

その後、多くの助成金を有効活用していくためのアドバンスとして活用していただくことをお勧めします。

もちろん、自社で申請できるアドバイスも行えますよ。

気になる方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

 

ホントのメリット

そもそも厚労省の助成金は「労働」と「雇用」の状況を良くしていくためのもの。

しかしながら会社が負担に感じる労働環境の向上、雇用の改善は結局は従業員のしあわせにはつながりません。

積極的に取り組むことで得られる会社のメリットから改善を考え、従業員がモチベーション高く就業できる会社づくりをしていきたいですね。

決して大義名分となることなく。

そんな会社づくりのお役に立てたら私もしあわせです。